──北沢社長は、東京海上日動あんしん生命で社長も務めた。その経験をどう活かすか。
【北沢】東京海上日動からあんしん生命にいくとき、私はすでに生命保険は広く普及していて、これから新しい商品はそれほど出ないだろうと考えていた。ところが実際に行ってみると、さまざまなニーズがあって、損害保険ではカバーできないお客様の不安に生命保険が応えられることを知った。お客様の目から見れば、損保も生保も同じ。むしろ損保と生保を一緒に提供することでお客様の利便性が高まるはずだ。弊社は2002年から損保と生保を一体化した「超保険」を販売している。一つの契約で生命保険、医療保険、自動車保険などを個人の状況に合わせ加入できる。現在、契約は190万世帯を超えたが、これをさらに伸ばしていくことが自分の仕事だと考えている。
──社員には、何を伝えていくか。
【北沢】商品開発に25年間携わったが、保険の仕組みを学ぶほど、保険は人類が生み出したすばらしい知恵だと考えるようになった。その考えは、災害現場にいくとさらに強くなる。1980年代の長崎大水害や山陰の集中豪雨では、すぐに現地入りしてヒアリングを行い、商品の改善につなげた。阪神淡路大震災でも3日後、東日本大震災では1カ月半後に被災地に入った。そこでお客様の声を聞き、保険には人々を奮い立たせ、前に向かって歩こうと思わせる力があることを実感した。一人でも多くの方に保険に入ってもらい、生きる力にしていただく。社員や代理店とも、その思いを共有したい。
1953年、長野県生まれ。長野県立長野高校卒。77年東京大学経済学部卒業後、東京海上(現東京海上日動)に入社。2010年東京海上日動あんしん生命社長、東京海上ホールディングス取締役、14年東京海上日動取締役副社長などを経て16年4月より現職。