【黒田】そういう意味でいうと、私が許せないのは「元CA」という肩書のマナー講師。最近特に増えてきてるような気がするんですけど、みなさん正直どう思います?
【東出】CAって……マナーと関係ないですよね。CAをことさらありがたがる日本人の「CA信仰」につけこんでいるだけのイメージ戦略というか。だって、本当にバリバリCAとして働いていた人って、デスクワークをした経験なんかないですよ。だから、名刺交換もしたことないし、電話だってまともに取ったことがないはず。そんな人が「CAの経験を生かして……」とか言ってるのを聞くと、違和感を覚えます。
【高橋】そうそう。あの人たちは飛行機で乗客を安全に目的地に送り届けるためのプロなのであって、接遇のプロじゃないはずですよね。たしかに、ファーストクラスのVIPに対しての言葉遣いはきちんとしているだろうし、身だしなみが整っているのもわかるけど、お盆に載せた食事を運ぶだけの人のどこにマナーが入り込む余地があるのか謎です。
【新井】私はそういう視点はなかったです。実は、私は結構大手のマナー講師派遣事務所に所属しているので、「元CA」という肩書の方って同僚にも結構いるんですよ。
【黒田】あら、ごめんなさい(苦笑)。
【新井】いえいえ。でも、言われてみれば本当におっしゃる通りですね。うっかり彼女たちの「CAです!」っていう高貴な雰囲気に騙されてました。
【高橋】わかる! マナー講師って、本当に雰囲気が大事なんですよ。堂々とした態度で自信満々に講義をすれば、自動的にありがたがってもらえてしまうというか。企業研修を仕切るのなんて、ほとんどが人事部の若手だから、こちらが「マナー講師でございます!」って態度で押し切れば、大抵納得しちゃうんですよね。