ロゼはいつ飲むべきか

ところが、ワインの本場であるフランスでは、状況が異なっています。統計データにより多少の違いはあるものの、フランスのワイン消費におけるロゼワインの割合は実に30%を越えており、この数字はなんと白ワインよりも多いのです。しかも近年は、ロゼワインの消費が拡大傾向にあります。

かの地でも「若者のアルコール離れ」は進んでいるようですが、それは当然「ワイン離れ」も意味しています。酒類関係者によれば、特に「高級な赤ワイン」に対しては、それを敬遠する傾向が強まっているようです。権威性やウンチク、重厚な味わい、そして何よりその高い価格に対して、興味を持たない若い世代が増えているというのは、世界共通なのかもしれません。

そんな中、ロゼワインは手頃な価格の銘柄も多く、またそのすっきりした味わいが好まれていて、夏場には定番のポジションを獲得しています。実際、フランスに暮らす知人に聞いても、「暑くなると、カフェとか家で気軽にロゼワインを飲んでいる人は多い」とのことです。

果たして、こうした「ロゼワイン人気」の流れは日本にも訪れるのでしょうか。個人的には2つのアプローチによって、それは起こるかもしれないと考えています。

ひとつは「食べ物との組み合わせ」、いわゆる「マリアージュ」の提案です。私を含めて多くの日本人にとって、ロゼワインを選ばない理由は、「いつ飲んだらいいのかわからない」ということでしょう。ワインの飲み方にルールはありませんが、「魚には白、肉には赤」という緩やかな指針があることは、ワインを選ぶうえでは手がかりになりやすいのも事実です。

ところが、今のロゼワインには多くの人がイメージするような、料理や食材とのマッチングがありません。送り手としてロゼワインを飲んで欲しいのでれば、意図的にそうした組み合わせを提案していく必要もありそうです。例えば、「野菜にはロゼワイン」という打ち出し方をすれば、反応する人はそれなりにいるのではないでしょうか。実際、軽くてすっきりした味わいのロゼワインは野菜との相性も良く、またテーブルの彩りがとても華やかになることでしょう。