四半期ごとの決算発表資料でも考え方は同じ。12年3月期第1四半期の連結営業利益にしても、シンプルな棒グラフで過去6年間の推移が表示されている。軸や目盛り線、枠線はすべて省かれ、右横に太いゴシック体で「6期連続最高益」とある。伝えたいメッセージは「ソフトバンクは成長しています」。そのためグラフは横にダラリと伸びていてはいけない。縦の棒グラフで右肩上がりがいい。
孫は過去の業績だけでなく、自社のビジョンにも常に数字を入れる。その数字が示す傾向を見れば、将来を予想することが可能だ。こうした数字に裏づけられたビジョンは、実現可能性が飛躍的に高まると同時に、計画を具体的に実行することも容易になるというメリットがある。
ジャパン・フラッグシップ・プロジェクト代表取締役社長兼CEO。1995年、東京大学卒業後、三菱地所勤務を経て、98年ソフトバンク入社。著書に『孫正義奇跡のプレゼン』『孫正義「規格外」の仕事術』ほか多数。