1957年4月、神奈川県秦野市に生まれる。父は専売公社の職員で、母と弟2人の5人家族。丹沢山系に囲まれてたばこ畑が広がり、祖父も栽培していた。県立平塚江南高校から東大経済学部へ進み、マーケティングの授業に刺激され、就職もその分野を目指す。
81年4月、専売公社に入社。会社訪問で若いマーケティング担当を紹介され、面白い話をたくさん聞いて、決めた。たばこの産地で育ち、祖父が栽培していたことで、親しみがあったことも背中を押す。でも、配属先は人事課の採用担当。がっかりしたが、面談での会社のPRや役員面接の廃止など、思い出深い経験もできた。
82年9月、社内に臨時制度問題対策本部ができた。2カ月前に第2次臨時行政調査会が出した3次答申で、専売制の廃止と公社の民営化が打ち出され、その対応策をまとめるためだ。本部メンバーの人選に、人事課も関与した。つい隣の席にいたことを利して志願し、選ばれた。入社前に新聞で行革論議を読み、公社の民営化もあり得ると知っていたので、「実現に参加したい」と思っていた。
85年4月、株式会社としてJTが発足。同時に関東営業本部(現・東京支店)へ異動し、繁華街の店にたばこを置いてもらう営業現場を経験する。40代は、経営改革ひと筋で過ごした。
2012年6月に社長就任。この3年半、改革の過程で知り尽くした会社の強みを磨き、弱みを見直し、内外の拠点巡りも続ける。そして、情報開示の大切さを教えてくれた産業医の言葉に、いまも背中を押されている。
1957年、神奈川県生まれ。81年東京大学経済学部卒業、日本専売公社(現・日本たばこ産業〈JT〉)入社。2001年経営企画部長、03年執行役員、04年たばこ事業企画室長、06年常務、07年取締役常務、09年代表取締役副社長。12年より現職。