権力に執着するのは「老い」の典型
その結果、自分の後継者が育たないという悪循環に陥ってしまう。本来であれば、多少能力的に見劣りしても、責任ある仕事をあえて任せ、たとえ失敗しても手や口を出すことなく、本人がそこから這い上がる修羅場の経験を積ませなければ人は成長しない。
山本五十六の言葉ではないが、
「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば人は動かじ」
なのである。
ところが人は歳を重ねるごとに、周囲の人間ができないことばかりが気になり、イライラが募り、がまんできずに叱りつけることが多くなる。
これは典型的な「老い」の現象だが、それによって人が育たないばかりか、優秀な人間が会社を去っていくことになる。
逆に残った社員はトップに恐れおののき、トップの言葉を絶対視するようになり、社内で神格化されていく。こうして“裸の王様”ができ上がることになる。
さらに下からあがめ奉られればトップも居心地がよくなり、退こうとする気持ちがなくなり、逆に権力に執着し、それを維持しようという力が働く。
その結果、自分に楯突く、あるいは将来、自分の寝首をかくかもしれない目障りな存在を排除しようとする。
これが老害の行き着く最悪の状態であり、トップが腐れば、当然それに蝕まれた会社も衰退していく。
ジャニーズ事務所がどの段階にある老害かはわからないが、この会社に限らず、日本企業は同族企業であるかにかかわらず世界に冠たる「老害大国」といってもよいだろう。