――すると金メダルを取る可能性もありますか?
【倉本】もちろんあります。オリンピックのゴルフ競技は男女それぞれわずか60人での争いです。
(出場資格は、(1)2016年7月11日の時点で世界ランク上位15位までの選手のなかから各国最大4人。(2)同16位以下の選手は、(1)の出場者が2人以下だった場合に、各国上位2人を限度に選出。(3)5大陸ごとに最低1人の出場枠などを合わせて計60人)
オリンピックは全米オープンなどのメジャー競技と違ってゴルフ後進国の選手も大勢出てくるわけですから、アメリカやヨーロッパのトップ選手は辞退する可能性があります。またゴルフはテニスなどと比べて実力下位の選手が上位の選手に勝つチャンスのあるゲーム。日本選手がメダルを取る可能性は大いにあります。また取れるよう作戦を練り上げます。
2004年の大転換
――リオデジャネイロというゴルファーには馴染みの薄い土地での戦いは、結果にどんな影響を与えますか?
【倉本】むしろ有利です。先ほども言ったように丸山は中南米での優勝(メキシコのワールドカップ)も経験していて気候や環境には慣れています。五輪大会コースのレセルバ・マラペンディGCは日本の高麗に似たゾイジャーという芝をフェアウェイやラフなどに使っています。コースレイアウトはドッグレッグなど変化に富み、飛距離よりテクニック重視の日本選手には相性がよさそうです。それに2015年はこのリオ五輪に合わせて本来8月に行われる全米プロが7月に変更されました。実はこれが有利に働きます。
(全米プロは7月28日~31日まで開催。リオ五輪ゴルフ競技は男子が8月11日~14日まで、女子は同17日~20日まで、それぞれ72ホールストロークプレーの個人戦で争われる)
――全米プロがリオ五輪とどんな関係があるのですか。
【倉本】オリンピックに出場する日本の選手はたぶん全米プロに出ることになると思います。全米プロからオリンピックまで約10日ありますから、全米プロの後、1週間ほどどこか南の地で合宿をし、リオに入るスケジュールが組めます。時差の調整が必要ないですから、コンディションを良好に整えることができます。また女子の競技は男子より3日後ですから、コースの状況、芝目、攻め方など細かな情報を男子から女子に伝えることができます。これらのまとめや調整、戦略は丸山ならお手のものでしょう。