――なるほどメダルの期待が持てそうですね。しかし倉本会長の本当の狙いはリオではなく東京五輪ではないのですか。強化委員長も、丸山のヘッドコーチもその布石に見えますが。
【倉本】正直、東京オリンピックでこそやりたいことがたくさんあります。またJGAが私を強化委員長にしたのもそれが目的だと思います。というのも2014年、52年ぶりに世界アマが日本で開催されました。自国開催(軽井沢72コース)で好成績を期待されましたが、結果は29位。世界の先進20カ国にも入らない惨敗です。これは日本のゴルフにとって危機ですよ。
かつての日本は、1984年香港大会では優勝し、私が出場した76年ポルトガル大会のときも2位(このとき倉本は個人戦も3位)など、強豪国だった。それがこのままいけばゴルフ後進国に成り下がります。そこに危機感を覚え、JGAは私を強化委員長に任命したのだと思います。ですからリオ五輪で終わらず、東京五輪まで関係していきたい。丸山も同じ気持ちです。
――東京オリンピックを見据え、世界に通用するゴルファーを育てるにはどうすればいいと思いますか?
【倉本】プロゴルフの世界は04年を境にがらりと変わりました。ビフォー・タイガー、アフター・タイガー(タイガー・ウッズ前後)です。日本はそこに気付かなかった。アフター・タイガーでは、用具の進化やコースの長距離化などによって体格のいい、パワーある選手が有利になっています。ドライバーを例にとっても、ヘッドが大きくなり、クラブが長く、軽くなりました。こうなると体の大きな選手は縦振りで、ボールも左右のスピンが減少される。つまりより遠く、より正確に打てるわけです。スイングもゴルフの概念も大きく変わってしまったのです。