毎日の株価ではなく事業に注目せよ
もちろん、株式投資において、持ち株の評価額の変動幅が大きいことは多大なメリットであり、一部の投資家にとって、それが収益を挙げる源であるとバフェット氏はいう。
しかし、彼の投資基準は、その企業が信頼できるもの、そして何十年経っても多くの人が欲しいと思うものをつくっていく事業なのかという点だ。
11年に日本に初来日した際のプレジデント誌の独占インタビューでも、バフェット氏は次のように語っている(W・バフェット「必ず儲かる法則を教えよう」/プレジデント 12年1月16日号)。
「まず、『ビジネスをそれ自体に注目すること』です。多くのプロの投資家や学者たちが、毎日の株価に一喜一憂しています。しかし、株価やマーケットの動向を、毎日、毎週、毎月追うことで、投資が成功するとは、私は考えていません。株はそのビジネスの一部分でしかないからです。注目すべきは、株価ではなく、事業そのものでなくてはなりません。常に株券ではなく、ビジネスを買うという投資姿勢が必要です」
実際にバフェット氏は、先の物件の評価額がどのように変動するのか気にしていない。08年後半の大規模な金融パニックが起きたときですら、これらを売却する考えはまったくなかったという。
そればかりか、物件を購入した時期の経済状況や利率、株式市場の推移についても確認していない。「マクロ経済の視点でものを見たり、他人のマクロ経済や市場の予測に耳を傾けたりするのは時間の無駄」と断言するほどだ。
投資家。バークシャー・ハサウェイ社会長兼CEO。1930年、米国ネブラスカ州オマハ生まれ。率先して慈善事業を行い、質素な生活を送ることから敬愛の念を込めて「オマハの賢人」と呼ばれている。純資産470億ドルは、ビル・ゲイツに次いで世界第2位。