一人ひとりの挑戦がマツダを支えている

――前社長、山内孝さんの小飼評をおうかがいします。

 私のような技術屋の立場から言えば、任せてくれた、のひとことです。危機のときも東日本大震災のときも全面的に私に任せてくれました。当時、部品調達が止まったときの対応策も全面的に任せてくれました。

 私がこうしたいと提案すると、すぐに、そうかわかった、とぴしっと答えが返ってきます。そういう意味では、技術屋にとって、信頼してもらっているのはとてもうれしかったですね。 

――山内さんは小飼さんのことを「肝っ玉のすわった人物」とおっしゃっていましたが。

そんなことはありません。自分なんかは右往左往ばかりしています。山内さんは、苦しい時でもステークホルダーの人たちに対して、真正面から会社の状況を説明し続けていました。 

――これからのマツダに、どんな人材が育ってほしいとお考えですか。

 まず申し上げたいのは、会社を動かしているのは木の根っこの人たちだということです。その若い人たちの“やってみようや”という一人ひとりの挑戦が会社を支えているのです。これを忘れるべきではありません。決してトップの経営者が会社を支えているのではないのですから。

 今のマツダには、中間管理職、本部長クラス、若い執行役員、どの階層にしてもみなバイタリティーがあります。常に新しいことに挑戦しています。こういう人材の集まりであってほしい。新しいものをどんどん考える、挑戦する、そんなエネルギーをマツダは持ち続けてほしいと思います。そうである限りマツダは成長していくと私は信じています。 

(前定賢三=撮影)
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