9月14日、マツダが新型「MX-30 Rotary-EV」を発表した。ロータリーエンジンを発電専用に使うシリーズ方式のPHEVとして登場したこの車が意味するものとは。自動車業界に詳しいマーケティング/ブランディングコンサルタントの山崎明氏は「このユニークな車には、“匠”の技を少数の技術者に伝承させてきたマツダの意地と執念を感じる」という──。
まさかの「発電専用ロータリーエンジン」
9月14日、マツダから非常に興味深い新型車が発表された。その名は「MX-30 Rotary-EV」。
外観はすでに発売されているMX-30と同じだが、パワートレーンがまったく異なる。MX-30には純粋な電気自動車(BEV)とガソリンエンジンにマイルドハイブリッドを組み合わせたモデルが存在するが、どちらとも異なる新しい電動システムが採用されている。
なんとロータリーエンジンを発電専用に使うシリーズハイブリッドで、なおかつ充電した電気だけで相当距離を走れる容量のバッテリーを搭載している。
カテゴリー的にはプラグインハイブリッド(PHEV)となるが、パラレル式もしくはシリーズパラレル式を採用する他社のプラグインハイブリッドとは大きく異なるシステムだ。
シリーズハイブリッドという意味では日産e-POWERと同じだが、e-POWERはプラグインで充電できるほどのバッテリー容量はなく、あくまでエンジンで発電した電気で走る、つまりガソリンで走るハイブリッドだ。
PHEVのベネフィット
プラグインハイブリッドのベネフィットは何か。
一般的に、日常的な車の走行距離は、1日数十km程度(片道30分程度の目的地への走行程度)がほとんどを占め、数百kmという長距離ドライブはたまにしか行わない、という使い方がほとんどらしい。
プラグインハイブリッドは日常の走行は自宅等で充電した電気で走り、たまの長距離走行の時だけガソリンエンジンで走る、という使い方を前提としたモデルだ。