長距離走行の時はCO2を排出してしまうが、ほとんどの場面では電気のみで走るのでCO2削減効果は大きい。一方、BEVで最大の問題となる外出先での充電場所の不足や充電時間の長さといった問題からは解放され、実用上の不便はない。

現状最適解の1つと考えられ、一時期極端なBEVシフトに走った欧州や中国でも見直しの機運が高まっている。

マツダが実現したまったく新しいPHEV

もちろん欠点も存在し、エンジンを動かすためのすべての装備、大型バッテリー、モーター、制御系を搭載する必要があるので、ある程度大きな車体でないと成立しない。

レシプロエンジンは3気筒以上でないと振動の問題が発生するので、小さいエンジンと組み合わせることも困難だ。

このような特徴と制約条件を持つプラグインハイブリッドであるが、マツダはとてもマツダらしい方法で、まったく新しいプラグインハイブリッドのシステムを実現したのである。

「ロータリーエンジン」はマツダの象徴

マツダはかつてロータリーエンジン搭載車を発売していた。ロータリーエンジンは往復運動のレシプロエンジンとは異なり、ガソリンの爆発力を回転運動に直接変換するものだ。

ロータリーエンジンのカットモデル。回転運動する機構がよくわかる
写真提供=筆者
ロータリーエンジンのカットモデル。回転運動する機構がよくわかる

つまり振動が少なくスムーズに回る。また4ストロークのレシプロエンジンは2回転で1回爆発する仕組みで、4気筒で1回転2回爆発となる。

それに対しロータリーエンジンは1回転で3回爆発するので小さいエンジンでもパワーが出る。

1960年代、ロータリーエンジンは夢のエンジンともてはやされ、世界中の自動車メーカーが開発に乗り出した。しかしロータリーエンジンの開発は困難を伴い、マツダのみが十分実用に耐えるロータリーエンジンの開発に成功したのだ。

マツダの多くの車種にロータリーエンジンが搭載され、ロータリーエンジンはマツダだけが持つ、シンボリックな技術だった。