【1】「約束した期日を守らない」“時間に無頓着”な営業マン

購買ネットワーク会の代表幹事、日本ムーグの小南氏は同僚たちと、「イケてない営業」の共通点を探ったことがある。約束を守らない、連絡をしても返事がない、レスポンスが悪い、暗い……「スキル以前の人間的な部分ばかり」だった。

「現に自分でいった見積書の期日を守れない営業が半分くらいいる。 “すみません、その日には出せません”と事前に連絡があれば、リスケジュールも可能なのに、できる人が少ない。私の場合、何月何日に依頼して何月何日に回答があったか、サプライヤーさんを選定する評価項目の一つにしています」(小南氏)


伊藤忠商事 水産部 水産第三課長代行●浦部裕次

相手が約束を守れるかどうかは、海外でのビジネスでも重視されるようだ。伊藤忠商事水産部で地中海産の畜養マグロの輸入を手がける浦部裕次氏が話す。

「水産の場合、契約書に書かない部分が結構あります。それを約束通り、やってくれるかどうかが、一番のポイントです」

夏場に捕ったマグロを冬場まで育てる畜養はとりあげてみないと育ち方がわからない。契約書で詳細まで決めると、売買が成り立たなくなる可能性がある。

「例えば、先方の要望で早めに海からあげる場合、大きさは十分ではなくても、品質には絶対手を抜くなよと頼む。口約束をきっちり実行してくれる相手とは長くおつきあいします。逆に他の取引先と天秤にかけて、条件がコロコロ変わる相手とは契約書に細かく記述します」

「信用とは、人に好かれること、約束を守ること、儲けさせることにつきる」とはホンダ創業者、本田宗一郎氏の名言だ。

【2】「自分の靴の手入れもできない」“スーツに白靴下”の営業マン


トステム住宅研究所 購買部 課長補佐●竹腰正人

「私たちは営業マンを通してしか相手の会社を知ることができません。そのため一番初めに見るのは、挨拶や服装などビジネスマンとしての基本中の基本です」

と話すのは住宅メーカー、アイフルホーム(トステム住宅研究所)購買部の竹腰正人氏だ。

「例えば、ハゲハゲの靴でやってくる。新しい、古いではなく、きちんとメンテナンスができているか、細部にこそ本人の仕事ぶりと会社の体質が表れます。スーツに白靴下など論外。でもいるんです」

バイヤーは営業マンが気づかないうちにボロを出すのも見逃さない。

「戸惑うのは言葉の使い分けです。商談中に自社からの携帯に出るとき、目の前で丁寧な言葉遣いから態度が豹変する。同行の部下にもきつい言葉を浴びせたり。一方、先方の会社で宅配便にも丁寧に対応する営業マンを見たりするとちょっと感激します。相手によって態度が変わる人と変わらない人、どちらが信用できるでしょうか」(竹腰氏)人としての基本に欠ける営業マンは、まっ先に切り捨てられるということだ。