そんななか、07年末から翌年1月にかけ、中国製冷凍ギョーザ事件が起きた。食べた人たちの何人もが中毒症状を起こした。当然、社内からも値上げには慎重な声が上がり、思いとどまるという選択肢もあった。けれども、決断にはタイミングというものがある。そこでやめたら二度とできなかっただろう。
――グローバル戦略の加速も期待されている。
【西井】現中期経営計画(14~16年度)発表時の数字に従えば、20年度の目標営業利益は1500億円。これが達成できれば、世界トップ10入りも見えてくる。14年度には過去最高の745億円なので、これを6年間で2倍にすることは不可能ではない。
いずれにしても「味の素」などのアミノ酸をベースにした事業を中核に位置づけ、アジアや南米の新興国の成長市場での稼ぎも狙う。もちろん、オーガニックな成長だけでは、目標の実現はむずかしい。これからも、戦略的な提携やM&Aも視野に入れながら、決めたことは愚直にやり抜いていく。
1959年、奈良県生まれ。82年同志社大学文学部卒業、味の素入社。2004年味の素冷凍食品取締役、09年人事部長、11年執行役員、13年ブラジル味の素社社長、味の素取締役常務執行役員、15年6月より現職。
出身高校:奈良県立畝傍高校
長く在籍した部門:マーケティング部門
座右の書(または最近読んだ本):『坂の上の雲』
座右の銘:至誠・至善・堅忍・力行
趣味:スキー、食べ歩き