脳タイプは「遺伝要素+認知」で決まる

前ページで紹介したタイプは脳科学の見地から分類したもの。たとえば、「ハイリスクハイリターン脳」は脳に興奮的な作用をもたらすドーパミンが分泌されやすい人。「小金持ち脳」は挑戦したことで得られる快感のもととなる報酬系の活動が弱い人。「浪費家脳」は神経伝達物質として働くMAOA(モノアミン酸化酵素)が活性化しにくく、脳内でセロトニンが分解されずに残って危機や不安を感じにくい人。「貧乏スパイラル脳」はセロトニンが足りていない人です。

図を拡大
脳に勝つ喜びを覚えさせる

こうした脳内の働きや分泌物の作用などは、いずれも遺伝的要素が強く影響していることがわかっています。けれど、持っている遺伝子のどの部分がいつ発現するかは、その人の環境や経験値によって変わる。そこで重要なのが自分の状況を客観的に捉え、コントロールする“認知”です。感情を抑える、あるいは戦う感情を奮い立たせる、こうした認知による修正を行うことで、脳内をうまくコントロールすれば、自分の弱点を克服することができるのです。

あなたの脳は「積極型」か「消極型」か

脳科学的に、お金に対して「積極型」と「消極型」に分けることもできます。上記で言えば、ハイリスクハイリターン脳と浪費家脳は積極型、小金持ち脳と貧乏スパイラル脳は消極型の傾向が強いのです。

この2つでは脳の状態が大きく違います。

「積極型」は前頭前皮質が発達し、リスクの大きい勝負に対して果敢に挑戦していける強みを持っている。けれど半面、ハイリスクの勝負に出て大失敗する可能性もある。そこで、計画を立ててから行動するなど「石橋を叩く」ことを脳に覚えさせる必要があります。

一方の「消極型」は「石橋を叩くだけで渡らない」状況に陥りがち。これは、受け身の姿勢を好む、前帯状皮質が発達していることが原因。この場合はスポーツでもゲームでも自ら勝負に挑み、「勝つ喜び」を脳に覚えさせることで自分に自信が持て、より多くのお金を引き寄せることができます。

では同じ「積極型」でもなぜ浪費家脳はお金持ちになれないのか。残念ながら詳しくはまだ解明されていませんが、お金持ち脳の特徴としてわかっているのは、合理的であることです。

これは幼少期の体験による部分も大きいのですが、子どもの頃から前頭前皮質の動きが活発で新しい刺激に敏感に反応する、また、自制心がある人は金持ちになる傾向があります。その前提として重要なのは脳の司令塔・前頭前野が「お金をたくさん稼ぐ」という目的を忘れないこと。熱意、目的が大事なのです。

(構成=堀 朋子)
関連記事
プロの技を伝授!「鉄板の資産運用&保険」
40代は9割がピンチ! 定年までにいくら貯めればよいか
「なけなしの100万円」ベストな運用法
簡単に「なりたい自分になれる」脳科学法【1】
実物公開!資産が2倍に増えたポートフォリオ