※本稿は、「プレジデント」(2017年3月20日号)の掲載記事を再編集したものです。
【QUESTION】運用で大損失、家族に言えない
本田の答え:損したお金で「家族の絆」を買ったと思いましょう
お金ですんでよかった、死ななくてよかった
夫婦の間には、本当にびっくりするようなことが起きます。私のセミナーで一番よく相談されるのは、やっぱりお金の話です。
たとえば奥さんは「高いバッグを衝動買いしてしまった」と。「気がついたら手元にバッグがあった」と言うのですが、夫からしたら「そんなわけないだろう」と思う(笑)。夫は夫で「株で一発当てようとしたら大損してしまった、どうしよう」。これはよくあることです。
こういうときは、「損したお金で厄払いできた」と、気持ちを切り替えて、こう考えてみましょう。病気をして仕事ができなくなって、多額の入院費がかかってしまった。そんな状況と比較したらもう、「お金ですんでよかったな、死ななくてよかったな、いい厄払いになったな」と。株で数十万、数百万、損したところで、長い人生を考えたら、大したことはありません。2カ月後には、トランプさんの影響で株価が戻っている可能性もあります。
家族というものを考えるチャンス
こんなときは、家族というものを考えてみるチャンスでもあります。本来、家族は許し合う、支え合う存在です。常にいいことばかりとはいきませんし、ときには伴侶がお金を生み出さない「負債」になるかもしれない。だからといって切り捨てるかといったら、そうではないと思います。株で失敗したときばかりでなく、病気をする、仕事がうまくいかない、そういうネガティブなことが起きたら、家族の絆を深めるチャンスだと思ってください。
しっかり謝ることで、感情は癒やされる
そのためには、ちゃんと奥さんに「株で損をしてしまったんだ」と素直に謝れるかどうかが重要です。ここぞとばかりに奥さんの不満が噴出するかもしれませんが、奥さんにも怒る権利、落ち込む権利をあげる必要があります。相手に叱られたり、しっかり謝ることで、夫婦間に積もりに積もった感情を癒やすことができます。それは、家族の絆を深めるまたとないチャンスになり得るのです。そうすることで最後には、「許す権利」も奥さんに与えることができます。奥さんにしてみたら、これは「相手を許す」という自分の器の大きいところを見せるチャンスでもあるわけです。
こういう経験を経て、夫婦の絆は深まっていきます。これで夫婦の関係がよくなると思えば、叱られるのは気が重いかもしれませんが、さほど苦しくないと思います。いろんなことがあって、それでも奥さんが「仕方ないわね」と許してくれたら、損したお金は家族の絆を深めるための支出だったとなる。そうやっていろんな角度から見ていくうちに、損した金額なんて、大したことないと思えてくるでしょう。