思考がひろがる「改ボケ」
初心者の代表格といえば、「子ども」です。福井大学の講義では、子ども向けに開発されたプログラミング専用パソコン「IchigoJam(イチゴジャム)http://ichigojam.net/」を使ったワークショップも行いました。IchigoJamは、BASICを使って誰でも簡単にプログラミングができるミニマムPCキットです。子どもたちはIchigoJamをいじって、プログラミングの制限のない世界の中で、色んなゲームをつくります。
講義の中では、「子どもがつくったゲームをいかにもっとゆるく面白いものにするか」ということで、さらに良くしようとする「改良」ではない、「改ボケ」に取り組んでもらいました。IchigoJamの開発者である株式会社jig.jpの福野泰介社長にも来てもらって、その「改ボケ」のライブコーディングを行う、という感じです。
「ボケ」のいいところは、何を言ってもいいし、正解を探す必要もないので、思考が加速していくことです。そして、他のボケとどんどん連結していくということです。「正解」は見つけたらそれで終わりですが、「ボケ」にはひろがりがあります。
子どものころは、そんな思考のひろがりを自分のこととして楽しんでいたような気がします。それがいつしか、先生から「たいへんよくできました」のスタンプをもらうことばっかり考えるようになって、「はなまる」をもらえない自分は認めたくなくなってしまう。これを僕は「はなまるコンプレックス」と呼んでいます。
ですが、なんだかんだいって僕も、未だ「はなまる」がほしくてたまりません。でも、誰もが認める「はなまる」なんてもう今の世の中にはほとんど落ちていないし、なにより、それに縛られた人生はずいぶん窮屈だと思うのです。