怒る人は弱さをさらけだしている

ときとして女性社員が自分より弱い社員を見つけて攻撃することもあるでしょう。言っていることは正しいけど、言い方がきつすぎて社内の雰囲気が悪くなることもあると思います。こういうときに一番いけないのは、上司が問題から逃げてしまうこと。「あなたの言い方はよくない。会社の雰囲気を悪くしている」と率直に言うべきです。彼女たちが悪い例になっている、恐ろしい存在になっているということを伝えるべきです。一見、こうやって怒る人たちは強く見えるかもしれませんが、実は弱さをさらけ出しているのです。

昇進に関して重要なことは、誰にでもわかる透明性がある基準を明示しておくことです。なぜこの別の人が彼女よりも昇進にふさわしいのか、決定の根拠をきちんと説明することです。決定が不透明であれば、不満が発生するのは当然のことです。

いろいろ話しましたが、ドイツも決してほめられたものではありません。たしかにアンゲラ・メルケルという女性首相が誕生しましたが、彼女は非常に男性的でかつ保守政党を率いており、女性の代表といえる存在ではありません。統計を見れば明らかですが、ドイツはEUの中で女性CEOの比率が高い国ではありません。私の専門である心理学でも、学部生の大半は女性なのに、准教授になると男女比は同程度、教授では男性が非常に多いという現実があります。ドイツも日本も、今後さらに女性が活躍できる環境になることを願っています。

心理学博士 浦上ヤクリン(うらかみ・ヤクリン)
ドイツ出身。米国へ交換留学、英国でインターンを経験、2002年シェムニッツ工業大学で博士号取得、同大学で准教授。03年来日し、慶應義塾大学および多摩大学で非常勤講師を務める。専攻は心理学・人間工学。
(構成=タカ大丸 撮影=小川 聡)
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