しっかり結果を出す人と、結果が出せずに言い訳ばかりする人は何が違うのか。2700社以上の企業で組織の問題を解決してきた識学の安藤広大社長は「『結果は出ていませんが、こんなに頑張っています』『数字以外の部分で貢献したので評価してください』などと言って自分の問題点から目を逸らす行為は、『自己欺瞞』と言います。この状態になってしまうと、なかなか直りません」という――。

※本稿は、安藤広大『数値化の鬼 「仕事ができる人」に共通する、たった1つの思考法』(ダイヤモンド社)の一部を再編集したものです。

ビジネスシューズを履いた男性の足元とカラフルなグラフ
写真=iStock.com/takasuu
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数字は人の価値を表すものではない

まず、数字での評価は、別に「人間としての点数」や「人としての価値」を表しているわけではありません。

仕事上の「数字」は「機能」として切り分けて考えないといけないのです。

なぜ、数値化をするのか、それを考えていきましょう。

それは、「未来」に目を向けるためです。

数字は、いま、自分には何が足りていないのか、どういう課題があるのか。それを「見える化」しているだけです。

テストで20点が足りていないのは、「次にどうすればそれを埋められるのか?」を考えるための手段です。もちろん、過去のあなたに対する評価は下されます。

しかし、「じゃあ、次はどうするか?」が常にセットなのを忘れてはいけません。そこまでを考え切って初めて数字は意味を持ちます。

その手前だけで終わっているから、数字を見ることがどんどん嫌いになります。

それは、ダイエットをしようとしている人が体重計に乗って現実を見ることを怖がっているのと同じです。

数字として表せるものは、さっさと受け入れて客観的に分析するしかありません。そして、次につなげるのです。そうやって改善していき、次こそはうまくいったとしたら、どうでしょう。

途端に「数字」が好きになり、「数字」に向き合うのが楽しくなります。

その好循環をいち早く起こすのが、プレーヤー期間には求められることです。

「数値化」は誰が見ても公平な評価を可能にする

組織にいる限り、上司が評価を下し、部下がそれを受け取ります。

すると、次のような疑問が出てくると思います。

「評価する側の人に問題があったらどうするのか?」

人を評価する他者への疑念が出てくるはずです。そこに対する識学の答えは、こうです。

「組織に所属している限り、直属の上司から評価される存在として、あなたは働いている。だから、評価につながる結果を出そう」

どうでしょう。少し厳しい言い方に感じたかもしれません。

上司と部下の関係を正しく機能させるためには、「公平性」がとても重要です。誰が見ても公平で明らかな評価を、上司は部下に対して下す必要があるからです。それを可能にするのが、「数値化」です。

・売上が「いくら」なのか
・改善行動が「何回」あったか
・期限を「どれだけ」守ったか

と、すべてのものごとを、いったん、数値化して評価するようにします。もちろん、数値化が難しい領域もありますが、まずはすべて数値化できる前提で話を進めていきます。