1日を「数字」で振り返ってみる

とはいえ、いきなり数字のある会話ができるようになるわけではないでしょう。そこで、まずやってみてほしいのが、「自分の1日の行動を数字で考えること」です。

安藤広大『数値化の鬼 「仕事ができる人」に共通する、たった1つの思考法』(ダイヤモンド社)
安藤広大『数値化の鬼 「仕事ができる人」に共通する、たった1つの思考法』(ダイヤモンド社)

多くのビジネスパーソンは、半年や1年間で目標を設定していると思います。

そのゴールを漠然と目指している状態は、夏休みの宿題を抱えて「そのうちなんとかなるだろう」と思っている状態と一緒です。

中だるみしてしまい、後から焦って頑張るようなタイプの人を生み出してしまいます。

ここで大事なことは、大きな目標を「1日ごと」に分解することです。

これは、新入社員や若いプレーヤーであれば、上司によって管理されているかもしれません。日報を書いたり、「ほうれんそう(報告・連絡・相談)」をする人もいるでしょう。

ちゃんと意図を理解した上でそれらに取り組んでいるなら、特に問題はありません。

しかし、多くの場合は、形骸化して仕方なく惰性でやっていることでしょう。

「言われたからテキトーに日報を書いています」
「なあなあのほうれんそうをしています」

そういう人が多いのではないでしょうか。

意図もわからずに、なんとなくやらされ感や義務感でやっていると、どんどん言い訳が増えます。

ごまかすのが当たり前になるはずです。

そうならないためには、1日ごとの数値化を「自分のため」にやるのです。

自分がどれだけやったのかを嘘偽りなく表すこと。まさに、心を鬼にできるかどうかが試されます。

言い訳の多い「中堅社員」の共通点

日報やほうれんそうでテキトーなことを書いてその場を逃れるのか、ちゃんと数字と向き合って報告するのか。これによる「差」は、年を重ねるごとに大きく開いていきます。

テキトーな報告をしている人は、次第に次のような発言を平気でするようになります。

「結果は出ていませんが、こんなに頑張っています」
「数字以外の部分で貢献したので評価してください」

こうやって自分の問題点から目を逸らす行為は、「自己欺瞞ぎまん」と言います。

この状態になってしまうと、なかなか直りません。

できていないことに向き合うのではなく、正当化して周囲に問題を押し付けるような考え方をしてしまうのです。そのほうがラクだからです。

今の日本の会社組織は、このタイプの中堅社員を一定数、生み出してしまう構造があります。

それを何としても食い止めたいなと私は考えているのですが、若ければ若いほど、まだ取り返せるチャンスがあるのです。

自分の足りない部分を考えることをしなくなり、すべて他人や上司、会社のせいにして考えてしまうようなら、気をつけてください。

そうならないために、数値化が必要なのです。