目先の変化にとらわれぬ長期のトレンドの“転換点”を見るのに有用なツールとして、株式市場などで重用されている移動平均がある。たとえば12カ月間の移動平均は、過去12カ月の平均値を取り、翌月は13カ月前の数字を落として最新の数字を加え、その平均値を……という具合に継続して算出する。長期のトレンドがきれいに見えてくるので、事業戦略や事業環境の転換点を見るために使っている経営者もいる。
こういうちょっとした加工一つで、一段質の高い数字を提供できる。
【STEP2】他社との比較
さらに経営者が欲しがるのが「他社との比較」である。売り上げの比較と同様、戦略上大切なのがシェア。お客様の限られた予算を回していただくのが自社か他社かを知っておくことは非常に重要だし、一番とはいかぬまでも、ある程度のシェアを持たない“泡沫候補”では、マーケットをコントロールできなくなってしまう恐れがある。
シェアを計算する際、たとえばドコモ、au、ソフトバンクのように全国展開している企業であれば、全国シェアは当然必要だ。しかし、たとえば地域で争っているデパートなら、全国シェアは必要なかろう。
そういう場合は、地域内での同業他社との比較のほうに重きを置くべきだ。さらに大事なシェアが、重要なお客様の中でのシェアである。特に特殊な顧客の商品を扱っている場合、お客様の中で自社製品が何割占めているかは非常に大切な数字だ。たとえば、大手のA社に自社製品をお買い上げいただきながら、A社内のシェアが非常に小さければ、“経費○割削減”といったちょっとしたことでこちらが切られる可能性があるし、そうなった場合のダメージも大きい。
大口のお客様を大切にするのは当然だが、より重要なのは、お客様から見て自社がどれほどの存在なのかを冷静に把握しておくことだ。そこを戦略的に分析し、シェアの確保やリスクヘッジにつなげるためにも、こういう数字は必要である。