【STEP3】効率

さらに、経営者は「効率」を求める。ひと口に売り上げ・利益といっても、たとえば広域で飲食店を経営する人からすれば、部下が、一坪当たりの売上高(利益)もしくは、従業員一人当たりの売上高(利益)といった一歩踏み込んだ分析をしてくれると嬉しい。

たとえば、100坪で売り上げ1000万円の店と、10坪で同200万円の店とでは、売り上げだけ見れば前者が上だが、坪当たりの効率を見れば、10万円の前者よりも20万円の後者のほうが優秀な店舗であることがわかる。

要は、投下資本に対するリターンを経営者がきちっと把握できるような報告がありがたいのだ。もっといえば、社員はそういう具合に“報告したいと思う”感性を持っていないといけない。どの会社でも、報告書などのフォーマットはある程度決まっている。まずはそれをつくった人、さらにそれを見る人の立場や気持ちになって考えてみるといい。

「こんな数字を経営者に上げたら助かるんじゃないか、喜ぶんじゃないか」などと考えながら報告できる人は、将来経営者になれる人。経営者側も、実は部下のそういうところをよく見ているのだ。

繰り返すが、当てにならない予測を書いてくる人ははっきりいって論外。正確な数字が出せるか否かが第一段階で、数字が大きいほうがいいか、小さいほうがいいか、どこまで分析すればいいのか。経営者も、実はやたら分析ばかりされても、あるいは数字ばかりが出すぎても、かえって困るものである。

だから、キーとなる数字、経営者が知りたい数字をどこまで出せるかが勝負だ。

その関連でいえば、どの数字も絶対額と率の双方を押さえておくことが望ましい。たとえば、売上高は絶対額でしか見ないが、それを%で表した前年比もあると助かる。同じように、本業の収益である営業利益の金額と同時に、それを売上高で割った売上高営業利益率を算出して他社のそれと比較すれば、販売活動や管理活動が効率よく行われているか否かを判断する材料となる。

部門や会社全体の業績について多くの人が目安にしている数字といえば、売上高から仕入れ額を引いた売上総利益(粗利額)だが、同時に売上高総利益率(粗利率)を併せて知りたがるのが経営者の常であることをわきまえておくといい。

小宮コンサルタンツ代表 小宮一慶
1957年生まれ。京都大学法学部卒業、米ダートマス大学経営大学院でMBA取得。96年、小宮コンサルタンツ設立。著書多数。
(構成=西川修一)
【関連記事】
どこが違うか? 役員になる資料vs課長止まりの資料
なぜソフトバンクでは棒グラフがすべて右肩上がりなのか
提案書――「結論3つ、個条書き」パワーポイント術
アイズファクトリーデータサイエンティストが推奨「数字“で”語れ」
【企画書づくり】横田雅俊―社長まで回し読みされる「捨てられない資料」