数字に強い人というのは、数字をみずからのこととして関心を持てる人である。常々会社の浮沈を気にする社長がほぼ例外なくそうであるのは当然だ。 これまで述べてきた基礎的な数字に加えて、各部門別でどんな数字が有用なのかを探り出し、自分の仕事に引き寄せて考えてみよう。
※基礎編-1はこちら(http://president.jp/articles/-/15413)
※基礎編-2はこちら(http://president.jp/articles/-/15414)
●企画部門
会社の社員全員、特に企画部門にいる人たちは、少なくとも損益計算書の成り立ちと仕組みを理解し、それぞれの数字をきちっと報告すべきだろう(図参照)。
売上高は誰にでもわかるが、そこから原価を引いたものが売上総利益、いわゆる粗利だ。そこから販売管理費・一般管理費を差し引くと、本業で得た利益を示す営業利益が出る。
そこから営業外の収益・費用を調整したものが経常利益である。そこで一過性の利益・損失である特別損益を調整したのが税金等調整前当期純利益。さらに税額を差し引いたものが当期純利益だ。この関係はしっかり把握しておかねばならない。
●営業部門
たとえば、化成品メーカーの営業マンが、「○○の店舗で▽▽売れました」と報告するのは当然だが、経営者は同時に、在庫額も知りたがっている。売れなくなった在庫が、ひょっとすると特別損失に計上され、ひいては会社のキャッシュフローに影響するのである。
それに在庫は、単に仕入れただけでは費用(売上原価)にカウントされない。費用として計上されるのは、実際に売れた分だけ。経営者が在庫額を気にするのはそんな理由もある。
在庫の増減とともに経営者が知りたがるのが、売掛金の回収額である。売掛金が回収されていてもいなくても、売上高には反映されないから、これも直近での会社のキャッシュの状態を把握するために知っておかなくてはならない数字である。
逆に仕入れたものは、お金を支払っていなければ、買掛金のままだから、その状態も知っておきたい。