そうすると、頼まれても断るべき場面が出てきますが、個人的な感情ではなくビジネス判断として断れる。これは後をひきませんし、毅然とした立ち居振る舞いは特にグローバル社会では逆にリスペクトされる。
しかしながら、やはり人間なので重要なのが、上手な断り方というものです。できれば互いの関係をさらに良くするような発展的な断り方がいい。私もうまく断れるようになったのは、40代ぐらいからでしょうか。相手は未来あなたが仕事を頼む人になるかもしれない。将来的に自分の味方につけるにはどういう断り方があるか。そんな風に考えるといいと思います。
それは日本語だろうと英語だろうと関係ありません。例えば、イギリス人は、こちらが断られていることがわからなくなるような上手な断り方をします。品がよくてエレガント、一生懸命褒めてくれるのですが、後でよくよく考えたら、断られているのです。
例えば、「なるほど、これは面白そうね。ぜひ手伝いたい。今は手を付けられなくて申し訳ないけど、今度1回その話を聞かせて頂けます?」、もしくは、「私よりもっと詳しい人がいるから紹介しますね」というように、必ず相手から「ありがとう」と言われる返答を心掛けてはいかがですか。
数秒の上手な断り方が、それをきっかけに営業や取引先など外のお客様と未来永劫につながる関係を築くことだってきるし、逆にリスペクトされることもあります。
もしメールで返答するなら、これは残りますし、拡散することもありますからとくに丁寧に書くことです。ここには時間をかけましょう。ここを乱暴にすると後でとてつもない修復の時間を費やすことがあります。私も何度も痛い目にあいました(笑)。
BTジャパン社長
1988年、慶應義塾大学卒業。カナダの通信会社、NTTアメリカ、NTTコミュニケーションズ、ベライゾンジャパンの営業本部長などを経て2012年からBTジャパン社長。15年6月から日本経済団体連合会の審議員会 副議長に就任予定。