収入や保障への不安が大きい
では一方、働く側として、フリーランスという生き方を選択することを考えてみましょう。
フリーランスに対して行われた、いくつかの調査結果があります。
2015年4月に発表された、中小企業庁の「中小企業白書・小規模企業白書」によると、「仕事の自由度や裁量の高さ」「やりがい」「生活との両立」に対する満足度が高い反面、「収入」「社会的評価」に対する満足度が低い傾向となっています。収入が不安定で、医療保険や年金などの社会保障、健康面への不安が強く出ています。
また、ライフネット生命保険が2014年に行った調査でも、「好きなことが仕事にできる」「時間や服装が自由」というメリットを感じる半面、「収入の不安定さ」「病気やケガの保障の少なさ」「仕事を失うリスク」を不安視しており、同様の意識傾向となっています。「ローンやカードの審査が通りにくい」「人生設計が立てづらい」といった切実な心配も挙げられています。
「フリーランスなのだから、そんなの当たり前じゃないか」と思われるかもしれませんが、次のような調査もあります。
Crevo(旧社名:PurpleCow)が2013年に、国内外のデザイナーに対して行ったアンケートによると、日本ではクラウドソーシングでの報酬が国内平均賃金の1/3程度であるのに対して、インドネシアでは逆に3.5倍にもなるというのです。発注元の多くは欧米など先進国であるのに対して、新興国の人が受注した場合、「先進国基準での報酬」を得られれば、このような結果となります。
世界的に見れば、「フリーランスの収入は低い」というのは、常識とは言えないのです。
しかし、ここは日本です。デザインや写真のように言葉の壁が低い分野については、新興国など海外勢との競争となり、より低価格化が進むかもしれません。仲介サイトによって、受注のチャンスは広がりますが、一度ネット上での評判を落としてしまうと、仕事が回ってこなくなる可能性もあります。