米づくりも支援する。米農家オーディション「お米番付」を開催。ミシュラン星付き料理長らが審査し、入賞米は国内航空会社国際線ファーストクラスに採用された。お米のおいしさを体験してもらうため、京都・祇園、東京・銀座に開店した「米料亭」では、特製の土鍋炊飯釜で炊いたご飯が目当ての顧客で平均2時間待ちが続く。
「子連れで来店されたお客様から、ご飯嫌いだった子供が、以来、食べるようになったとお手紙をいただいたりします」(ブランド戦略室・松下祐さん)
正社員も3人から38人に。注目すべきは、今も毎日全員集まり、お米の食べ比べを続けていることだ。橋本社長の横でカスタマーセンターの女子社員も舌に味を記憶させる。お米にかける思いを共有した社員は、顧客からの問い合わせに自分の言葉で価値を語る。日常ではコモディティのお米も、思いを伝える非日常のギフトになると価値が変わり、八代目儀兵衛のストーリーが顧客のストーリーへとつながっていく。他社は商品の外見は模倣できても、そこには入り込めない。
「でも、一気に拡大は目指しません。量を売るのが目的ではなく、自分たちの質を維持しながら、お米文化を守っていきたいからです」(橋本社長)
思いを持つ企業は、その思いが顧客に生み出すストーリーが競争力となる。お米ギフトはコモディティ商品でも差別化可能な1つのモデルを示している。
※記事内の商品価格はすべて消費税込み。
米屋の長男として育った橋本隆志社長が2006年に創業。その年その時期のおいしい米をブレンドする米屋の強みを活かし、インターネット上で米販売をスタート。京都らしいデザインの「米ギフト」が話題に。全国の農家を応援するため、甘い米のコンテスト「お米番付」も開催。