マーケティング――新たな市場で顧客を創造していく

■経営学の泰斗による方法論

『イノベーションと企業家精神』
  P・F・ドラッカー/上田惇生(訳)/ダイヤモンド社

企業経営者に向けて、組織のマネジメントや事業のイノベーションに関する具体的な方法論を示した書。このなかでドラッカーは“イノベーションのための7つの機会”として重要な順に、(1)予期せぬ成功と失敗を利用する、(2)ギャップを探す、(3)ニーズを見つける、(4)産業構造の変化を知る、(5)人口構成の変化に着目する、(6)認識の変化をとらえる、(7)新しい知識を活用する──をあげ、新規事業はそれらによって起こると説く。今日に通用するマーケティングの原理が網羅されているといっても過言ではない。まさにマーケティングの「不磨の大典」というべき書だ。

■半世紀以上のロングセラー

『アイデアのつくり方』
  J・W・ヤング/今井茂雄(訳)/CCCメディアハウス

マーケティングでは、市場開拓のためのアイデアが必須といえよう。本書にはタイトルどおり、アイデアを生み出すための方法論が満載されている。「アイデアとは、既存の要素の新しい組み合わせ」と説く著者は、戦後の米国広告業界をリードした立役者の一人。日本でも半世紀以上にわたって読み継がれてきたロングセラーだ。マーケティングに携わるなら、ぜひ読んでおきたい一冊。

■数少ない実務者向けの実践書

『顧客創造実践講座』
  宮永博史/ファーストプレス

技術研究者や経営コンサルタントを歴任した著者が、マーケティング実務者向けにまとめた手引書。「研究開発部門から経営企画部門に異動した“私”がロボット事業立ち上げに携わる」というストーリーを通じて、死の谷の克服、SWOT分析、経営陣へのプレゼンといったアイデアを事業化していく手順を学べる。各項目に読者用の自己分析リストもついており、とても実践的。

(野澤正毅=構成 加々美義人=撮影)
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