さらに注意したいのは、人脈の量や、仕事の効率性も、この仕事の量、いわば場数に比例するということだ。
もちろん、場数が多ければ、その分、失敗の数も増えていく。上司に叱られることもあるだろう。しかし、それはある意味、20代の特権。「失敗学」という表現があるように、失敗ほどよい学びの機会はないともいえるのだ。このことに無頓着な20代がことのほか多いと大塚氏は語る。
「成功体験をすることは、『自信がつく』など、ビジネスパーソンとしての骨格をつくるのに必要ですが、失敗体験をすることでその成功の意義をより立体的に捉えることができるのです。また、こうすると失敗するという経験により予知能力のようなものが身につき、30代以降に意思決定する立場になったときに適切にそれができる。失敗をしていないと、とかく事なかれ主義に陥り、前例踏襲型の判断になってしまう。結果的にパフォーマンスが高いものになりにくいのです」
勉強の機会を与えてくれるのは、何よりこうした実地体験だが、有能な先輩社員にも学ぶことは多いはずだ。
勝ち組・負け組がさらに鮮明になる二極化の時代、メンターのような存在をつくることも20代の必須カリキュラムといえるかもしれない。
「手本となるメンターをできるだけ早く見つけるべきです。彼らは勝ち方のセオリーを知っています。手取り足取り仕事のやり方を教えてくれるとは限りませんが、どんどん吸収すればいい。そのため、できるだけ接点を増やして、“ビジネス芸”を伝承してもらう。暗黙知や、秘伝の勝利の方程式を盗むのです。メンターを仮想ライバルとするのも悪くありません」(大塚氏)
学び方のポイント
1. 預金通帳の「ウラ」を読んで「本質」を知る
2. 定番の基礎理論の本を自腹で購入して熟読する
3. 仕事の量を質に昇華。「量質転換」を体験する
1962年生まれ。リクルート勤務後に渡米。MBAを取得し、現在オーダーメイド型営業研修や法人コンサルを。新刊『9割の人ができるのに、やっていない仕事のコツ』発売予定。
1957年生まれ。京都大学卒業後、東京銀行に入行。米留学(MBA取得)などを経て現職。十数社の非常勤取締役や監査役を。『ビジネスマンのための「勉強力」養成講座』など著書多数。