金融業界に勤務しているなら、日々変化している金融に関する情報や知識を仕入れるのは当然として、政治(政策)と金融との関わりや、国際金融学について、また各種ファイナンスの実務などについてのトレンドを随時おさえておくことが重要だというのだ。

大塚氏が20代の頃に数十回読んだというP・コトラーの古典的名著(プレジデント社刊)。マーケティング理論満載の各ページにはマーカーが引かれている。

「20代の頃に意識的に取り組んでほしいのは、実務、勉強、実務、勉強、実務……というサンドイッチ構造の重層的な学びです。著作で新しいノウハウをインプットし、実地に生かし、その後その実地体験を著作で確認しつつ、また新しいノウハウを吸収する。その循環を続けることがビジネスパーソンとしての器をより大きなものにしてくれるはずです」(大塚氏)

勉強の材料はあくまで、実務に関連する内容・テーマを中心とし、実務へのブリッジになったり、インターフェース(接続部分)になったりする可能性のあるものを優先しよう。

大塚氏が、この“サンドイッチ式”の勉強・仕事習慣をより強化する作戦として有効だと語るのが、自ら「場数」を増やすことだという。

学ぶ機会が多ければ多いほど、経験値が高まり、いずれ自分のキャリアの貴重な財産となる。当然、手をあげて仕事を取りにいく20代が多いかと思いきや、さにあらず。どうも、最近の若者は貪欲さに欠けているという。

「忙しいのはみな一緒です。そのなかで積極性を出せるか。仕事の量が質に昇華していく“量質転換”という現象をご存じでしょうか。これは量を積み上げるなかで、その蓄積が質を生み出すという概念。英語のヒアリングをのべ1000時間蓄積して、初めてテレビや映画の生の英語を聞き取れるようになるという閾値をイメージするといいでしょう。ある一定のレベルに到達するには、地道な基礎練習の積み重ねが不可欠。そのために、場数が少なくてはキャリア形成の致命傷になりかねません」(大塚氏)