「一人前と一流は違います。一流になりたければ、人が見逃しがちな基礎や本質を自分の頭と体にきちんと叩き込まないといけません」(小宮氏)
小宮氏は、顧問を務めるある建設関係の会社の現場作業の若手社員に、「日常業務に直接関係がなくても、電気工学や建物の構造力学といった知識まで知ると将来が違ってくるよ」とアドバイスしているそうだ。
そうした知識は会社が研修などで教えてくれるわけではない。だから、オン・ザ・ジョブ・トレーニングではなく、オフ・ザ・ジョブ・トレーニング。自腹を切って本を購入し、週末などに独学することができるか。自学自習できるかにかかってくるのだ。
「営業職なら、先輩社員のやり方をマネするだけでなく、書店に山ほど売っているマーケティングの基本理論やプレゼン法、話の聞き方、人間(顧客)の心理学に関する著作を読んでいるか。その知識が20代で役に立たなくても30代以降、マネジャーのような立場になったときに生きてくるはずです。昇進すればするほど、“本物”を相手に真剣勝負することが増えます。しかるべきベースがあり、それを応用することで、実践力は高まるのです」(小宮氏)
実務の“ど真ん中”を掘り下げよ
同じく経営コンサルタントの大塚寿氏も、20代は、単純に見える仕事の「深い」部分を一生懸命にするべき、という意見を持っている。
「20代は自分の実務の“ど真ん中”をとことん掘り下げる時期です」
大塚氏が声を大にしてそう語るのは、20代に「勉強のための勉強」的な的外れな学びが横行しているからだ。
「無目的に資格取得に走る若いビジネスマンが多いのです。業務上必要な資格は当然取得すべきですが、何となく役立ちそうだからと、例えば行政書士や中小企業診断士などの勉強をするのはいかがなものかと思います。確かに地頭は強くなるかもしれませんが、実務に遠い知識では現在も将来もためにならない。勉強すべきは、もっとど真ん中の部分なんです」