結果を出さなければ出世できない

最近では管理職や経営幹部に不可欠なマネジメント力を早期に身につけさせるために採用学生から一定数を選抜し、特別のコースを歩ませる企業もある。実際に数年前から始めたという流通業の人事部長はこう語る。

「採用した学生の中からこれはと思う優秀な学生を選抜し、違うコースを歩ませています。多くの社員は店舗勤務をさせるが、その人たちは最初から別会社の経営企画部門で働かせ、時期を見て、店舗勤務を経験させます。同期の配属先はバラバラなので誰が選ばれて、選ばれないかはわかりません。選抜組はその後、本社やグループ大手の経営企画部門で働きながら経営幹部として養成していきます」

選抜では、採用試験の高得点組に加えて、マネジメントの資質があるかどうかをチェックしているという。ただし、どうしても採用時の印象に左右されやすく、東大、一橋大、早慶などが多くなる傾向にあるという。もちろん出世が約束されているわけではなく「配属先での仕事ぶりを常にチェックしており、途中の評価が低ければふるい落とされて、普通の社員と同じような管理下に入ることになる」(人事部長)

昇進のチャンスは与えられるが、途中で躓けば昇進の芽がなくなることになる。その点では最も厳しいのはメガバンクかもしれない。元人事部長は銀行での出世についてこう語る。

「銀行で昇進するには3つの関門をくぐり抜ける必要があります。最初の分かれ目は30歳前後、次は35歳前後。この時点で半数がふるい落とされる。そして最後が40歳前後。この時点で部長に昇進できるのは1割程度。50歳で役員になれば銀行に残れるが、なれなければ外に出される仕組みです。30歳前後は教育訓練期間でもあり、見極めは難しいが、やはり東大、一橋、慶應あたりは残っています。出身大学が同じ上司が多少甘めに見てくれることもあるかもしれません。しかし、35歳、40歳前後は確実に成果を出せない社員は落とされる。学閥効果はないし、そんなものは通用しません。成果を出し、なおかつマネジメント力など将来の成長期待が強い人だけが選ばれるのです」

昇進要件として、最近はどの企業でも厳しくチェックされるのが、マネジメントなどの部下の指導力だ。部下を統率し、一つにまとめ上げる力があるかどうか。マネジメントの資質は高校・大学時代の活動によって磨かれると指摘する人事担当者も多い。

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