教育費を「聖域」にして無理をしないこと
ただ子供が生まれたときの親の年齢によって教育費のかけ方や貯め方は変わってくる。最も「危険」なのは40代以降に結婚した人だとファイナンシャル・プランナーの内藤眞弓氏は言う。「独身時代が長く自由にお金を使ってきた人たちはいいものを知ってるので、子供の学歴にもブランドを求める。そうすると教育費が高くつくのに、自分たちが年齢的に長くは働けないことに気がつかない」。
わが子はかわいい。できる限りの教育を受けさせたい。「でもほどほどにしておかないと自分たちの老後が大変なことになる」(内藤氏)。逆に若いうちに生んだ世代は少ない給料から教育費の積立金を捻出するのは苦しいかもしれないが、40代で子供が社会人となるので、老後資金を確保する時間はたっぷりつくれる。
どちらにせよ、教育費を聖域扱いにして無理をすると家計が破綻してしまう。本当に必要な教育とは何かを夫婦で考え直す必要がありそうだ。
【ヒント】貯蓄が少ない子持ち20代vs贅沢志向の晩産40代
貯蓄が少ない若い夫婦は万が一を想定して保険の利用を検討してもいい。中高年夫婦はブランド志向に陥りやすく、教育費のかけすぎに注意。(※以下、内藤眞弓氏作成)
≪20代で子供ができた夫婦≫
◎デメリット
・貯蓄が少なく経済的ゆとりなし
・職場によっては育児と仕事の両立が困難なことも
◎メリット
・祖父母がまだ若く、物心両面の援助が期待できる
・祖父母の介護が必要な時期に子供は成長。介護要員としても期待
・子供の教育費負担が終わってからリタイアまでの間に老後資金を確保できる
≪40代で子供ができた夫婦≫
◎デメリット
・贅沢を知っているため出産や教育にブランドを求めがち
・祖父母の介護問題と育児・教育問題が同時進行
・リタイアまでの期間が短く、リタイア後も教育費負担が続く
◎メリット
・それなりに収入があるため、経済的にゆとりあり
・仕事上のキャリアを積んでいれば、共働きを続けやすいことも
家計の見直し相談センター代表。1968年生まれ。慶應義塾大学大学院理工学研究科修了後、自動車会社を経てファイナンシャル・プランナーに。
深野康彦(ふかの・やすひこ)
ファイナンシャルリサーチ代表。1962年生まれ。完全独立系ファイナンシャル・プランナーとして個人のコンサルティングを行いながら、さまざまなメディアを通じて情報を発信している。
内藤眞弓(ないとう・まゆみ)
ファイナンシャル・プランナー。生活設計塾クルー取締役。1956年生まれ。日本女子大学英文科卒業。13年間の大手保険会社勤務の後、FPとして独立。