少子高齢化にともなう社会保障費の負担増、そして消費税アップ、年金支給開始年齢の引き上げ、雇用不安……出るお金は増え、入るお金は減る一方。つぎつぎと迫る危機に、我々は貯蓄だけで防衛できるのだろうか。家計を守るひとつの方法として、保険との上手なつき合い方を探ってみよう。
国立大学の文部科学省令による授業料標準額は53.6万円、入学料28.2万円。私立大学の初年度学生納付金(文科省「2012年度私立大学等の入学者に係る学生納付金等調査」)は授業料85.9万円、入学料26.8万円だった。4年間通うのだから授業料総額はこの4倍。加えて自宅通学ができない場合の下宿費用まで含めた総額は、私立大学で1000万円前後という試算もある。
高校も意外にお金がかかる。公立高校の学習費総額(10年度文科省「子どもの学習費調査」)は39.3万円、私立は92.3万円。高校授業料の無償化制度の適用は14年度の新入生から世帯年収910万円未満の生徒に限られるので、今後は教育費が一層重くのしかかる。
そこで教育費をどう貯めるかが、子供が生まれた瞬間からの命題になる。まず思い浮かぶのが「子供保険(学資保険)」だろう。30代、40代の親たちは、孫の誕生を喜ぶジジババから「学資保険に入りなさい」と強く勧められたのではないだろうか。ファイナンシャル・プランナー藤川太氏は「子供保険は預貯金と同じように元本割れしないと思って入る人が多い」と言う。だが運用結果によっては様々な運営費用を差し引くと元本割れする商品もあり、満期になって「足りない」と頭を抱えることになる。
「最近は生保も元本割れの説明をしっかりすると思いますが、学資保険で貯めなければならないという理由はありませんよ」とファイナンシャル・プランナー深野康彦氏。保険会社は解約に抵抗のある保険なので強制的に教育費を貯めることができて、一般的には父親である契約者に万一のことがあった場合、養育年金(育英年金)が受け取れる点を強調するが、死亡保障は一般的な生命保険で担保できるので「メリットは強制力だけでしょう」と深野氏。10年単位で教育費を貯めることを考えるのであれば、NISA(少額投資非課税制度)を利用して比較的リスクの低い投資信託で積み立てる方法を提案する。もちろん元本割れリスクはあるが、子供保険よりも大きく増える可能性がある。