会社に「送りバントの神様・川相」はいるか
このつなぎ役がしっかりと、話す人、聞く人の序列をつけることで、相手が聞く耳をもつようになる。野球で言えば、バントをして、一塁走者を二塁に進めて、次の強打者にヒットを打って点数を取ってもらうためのお膳立てをする形といえるだろう。
ビジネスにおいて、ヒットや本塁打を打つような活躍も重宝がられるが、組織で仕事をする上では、複数の人が連携し安定的な契約実績を積み上げることも必要である。
Aの立場には、長年、仕事をしている経験者や上司などがそれにあたるが、時に、部下(B)でありながら、「現場に詳しいのは自分の方だ」とばかり、上司以上にでしゃばって、序列を無視して、客(C)に話す行為をみかけるが、これでは、客はどちらの話にウエイトを置いて聞けばよいのか、わからなくなり話に集中できなくなる。
あくまでも、つなぎ役は自らに与えられた役割のひとつとして割り切り、その職務に徹する必要がある。
連係プレースタイルで契約の説得を行う効果にはもうひとつある。それは、つなぎ役がいることで、違った目線からの説得も可能になることだ。
大事な点、重要なことを相手に訴えたい場合には、その言葉を繰り返して話すことで伝わる。しかし、説得役(A)が契約上、重要なポジションだとはいえ、何度も同じ話をしたのでは、聞いている相手は、「またかよ」とうんざりした気持ちになるに違いない。
そこで、つなぎ役(B)がいれば、説得役が強調したい部分を再度話すことで強調し、契約をプッシュできる。どうしても、商品紹介をする側は上から目線になったり、説得する側からの一方的な話になったりで、客の事情を無視した話になりがちだが、同じ目線の人(B)がいることでそれを防げる利点もある。
また、自分が他部署に異動する際、同僚や部下に客を紹介するといったつなぎが確実におこなわれる企業ほど、長いお付き合いができることは周知の事実だ。つなぎ役は、地味な存在であるが、人と人の架け橋になる存在がいてこそ、組織としての機能をフルに発揮できるというものである。