ポテンシャル秘める城東地区の駅
しかし、どこも資産価値の高い、つまり物件価格の高い駅ばかり。一般的な所得層が30年後の資産価値に期待が持てる物件に手を出そうとするのなら、エリアのポテンシャルの「伸び率」に注目したい。みずほ証券チーフ不動産アナリストの石澤卓志氏は次のように語る。
「いまでも安定した人気があって資産価値も安定しているエリアというと、城南(品川・大田・目黒区など)、城西(中野・杉並区など)になります。こうしたエリアの住環境はかなり整備されています。だから現在でも物件価格は高く、今後も資産価値はそう落ちそうにありません。ただし、土地の所有権が細かく分かれていて大規模な再開発があまり期待できず、それだけ伸び率も低くなりがちです。
その一方で、城東(墨田・葛飾・足立区など)のエリアは下町というイメージが強くて物件価格自体は相対的に安い状況でしたが、東京スカイツリーの開業や、それに伴う周辺の再開発の効果などで地域のイメージが上がっています。特に東武スカイツリーライン・旧業平橋駅(現とうきょうスカイツリー駅)およびJR総武線・錦糸町駅近辺は様変わりしています。また、JR常磐線・北千住駅や同・金町駅、東武スカイツリーライン・曳舟駅なども再開発が進行中で、こうしたエリアはもともとのベースが低いだけに、伸び率はぐんと高まります」
確かに2000年代から再開発が行われ、12年春、東京電機大学の本部が千代田区から移転してきた北千住駅は12年の商業地の公示地価で全国1位の上昇率になったほどであり、要注目といえるだろう。
なお、交通利便性という尺度で測れば、「東京駅から半径20キロメートル、電車での通勤時間が30分以内」も資産価値アップが期待できるエリアかどうかの基準となる。それでいうと、北はJR京浜東北線の大宮駅、東はJR総武線の船橋駅、西は中央線の三鷹駅がボーダーラインとなってくる。南は横浜エリアの人気が異常に高く、横浜駅を基点にこの基準を当てはめ、茅ヶ崎駅が境界線と見なすことができる。逆にこの基準の範囲外は、大きな期待が持てそうにないことになる。