どうすれば景気を判断できるか

自分の持ち家の売りどきはいつなのか。仕事柄、非常によく受ける相談である。

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不動産の価格変動周期に着目

一般に、不動産価格は株価に少し遅れて比例している。つまり、景気がいいときは不動産の「売りどき」。逆に景気が悪いときは「買いどき」ということになる。日本は今後、アベノミクス効果で景気が上昇の見通し。そう考えれば、今はまだ売りどきではない。市況に敏感な人たちは、13年の初めから不動産を買いはじめている。

とはいえ、あまり市況に明るくない一般の人には、「今が景気のどの段階か」という判断自体が難しい。景気の良しあしで見極めようとすると、タイミングを逃してしまうことも多いだろう。そこで注目してほしいのが、不動産広告のキャッチコピーだ。これを見れば、不動産の売りどきと買いどきを簡単に見分けることができる。

もし、新聞の折り込みチラシに「今なら賃貸物件並みの支払いで自分の家が買えます」と書いてあれば、それが不動産購入のベストタイミングだ。賃貸住宅より安く不動産が買えることはないのだから、暗に「底値ですよ」と言っているのだ。

逆に、「今がマイホーム購入のラストチャンス」と書いてあれば、そのときが売却のベストタイミングだろう。市場に出回る物件が減り、多くの人が「住宅を買うのが難しいな」とあきらめはじめる時期だからこそ、業者は「ラストチャンス」と表現するのだ。

さらに、「あなたの家を売りませんか」というポスティングチラシに「5200万円」などの具体的な価格が入ってきたら、それが不動産価格のピーク。誰もが自分の家の価値を信じて手放さない時期だからこそ、不動産業者も物件獲得に必死になる。チラシを見た人が、「この価格で売れるなら」と心を動かされるような高額を提示しているはずだ。本当に家を売りたいなら、「まだまだ値上がりするかも」などと欲の皮をつっぱらせず、潔く売りに出してしまおう。どうしても納得できなければ、価格交渉してみるのもひとつの手。数社から見積もりをとってもいい。相手は物件が欲しくて仕方がないのだから、多少の値上げは期待できるかもしれない。