ヤバイ物件は3年待つ

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しかし、家を売ったところでほとんど利益が出ない現状では、売却と購入のタイミングをずらすのが正解。ローン返済が終わっていれば、買いどきの今、新居を安く購入し、景気が上がった段階で元の家を高く売却するのが賢い選択だ。戦後、不動産価格は3~8年間隔で値上がりと値下がりを繰り返しているので、それを目安にタイミングをはかるといいだろう。

さらに、売却のタイミングを待って、家をただ2軒持っているのももったいないので、元の家は2~3年の「定期借家契約」を結んで誰かに貸すことをおすすめする。相手が身内なら、さらに融通が利くだろう。「定期借家契約」とは、簡単に言うと更新ができない賃貸契約のこと。たとえば2年の定期借家契約を結んだら、住人はどんなにその物件が気に入っていても、満2年で出ていかなくてはいけない。しかし、そういった制約があるぶん、家賃は相場より2~3割安くなる。双方にとってメリットのある契約なのだ。

もし家の買い替えを考えたときが好景気なら、動きはまったく逆になる。まずは家を売却して、不動産価格が落ち着くまでは賃貸物件でつなぐのだ。新居の購入予定地で、トライアル的に暮らしてみてもいいし、持ち家購入前の最後の楽しみとして、「昔から一度住んでみたかった」という憧れの場所で、少し贅沢に暮らしてもいい。そうは言ってもあまり頭金がない人にとっては、まとまった現金を持って購入に進む、こちらの動きのほうが安心感があるかもしれない。

しかし、ひと口に持ち家といっても千差万別。不動産価格の相場がどうであれ、売りにくい物件もあることを忘れてはいけない。たとえば、部屋で誰かが死んだような「事故物件」の場合。個人で売るのは難しい。そのため、不動産業者間で転売を繰り返す物件になるのが一般的。つまり、プロの不動産業者に売るのだから、当然価格は相場の半額程度になるが、それでも売れればよしとするしかないだろう。

同じく売りにくいものの例として、東日本大震災で液状化が問題になった土地の一戸建てがある。この場合は、行政による地盤改良の動きを待つなど、まったく別の対処が必要だ。

ただし、根拠のない噂によって売りにくくなっている物件なら、「2~3年待つ」戦略もある。どんなに騒がれたところで、噂は噂だ。2年もたてば悪評は消えていく。読者諸氏も、焦って売り急がれぬよう、ご用心。

●賢い不動産売買の5カ条
1.「売り」と「買い」の時期を一緒にしない
2.宣伝文句のビラを目にしたとき
3.賃貸の家賃並みのローン返済で購入可能なとき
4.不動産売買に強い影響を与えるイベントあるとき
5.不動産屋は「身内扱いしてくれる業者」か「大手」を選ぶ
(構成=大高志帆 写真=PIXTA)
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