「接客研修をする前も、みなさんお辞儀をしてはいました。けれど、それまでは我流だったから、お客さまからはお辞儀をしているようには見えなかった。だからといってマニュアル通りのお辞儀をすればいいわけではありません。重要なのは、マニュアルなどで接客の基本を知り、そのうえでお客さまを認知して、何を求めているかに気づくことなんです」
冬、おでんを見ている客の視線に気づき「いかがですか。温かいですよ」と勧めてみる。あるいは、客が高齢者であればフォークを付けることになっている弁当に割り箸を添えて渡す。
「マニュアルにはない、そんな心づかいが必要なんです」と森永さんは語る。
立地や地域、季節、時間帯などによって客のニーズは変わってくる。地方では、地元のおじいさん、おばあさんの井戸端会議の場になる店舗もある。
そんな場合、マニュアルは通用しない。「おばあちゃん、元気だった?」「じいちゃん、これ食べた?」……。そんな何気ない会話でも、口にするタイミング、言い方、そして心づかい次第で、客を喜ばせるひと言となりえるのだ。
1959年、福岡県生まれ。87年セブン-イレブン・ジャパン入社。88年府中地区OFC、94年山梨西地区ディストリクトマネジャー。以後、大阪、姫路、名古屋のDMを歴任。2010年よりトレーニング部 社員トレーニング担当アシスタント総括マネジャー。