──顧客評価をどうやって高めるのか。
【二宮】今年度から「連邦経営」に変えた。これまでは本社で戦略や予算を考え、地域の本部に渡していたが、お客様により近いところでニーズを受け止めるため、全国の16の本部に予算や人事の権限を与えた。たとえば保険金サービスの要員は事故の処理件数を基準に配置されるが、件数は地域や季節によって異なるので、地域の判断に任せている。一方、本社は本社でしかできないことに注力する。たとえば従来、夜間や休日も事故受付を行ってきたが、この9月から100名増員して、代車や整備工場、病院の手配、相手方への連絡といった初動対応を行うサービスを始めた。大手では弊社だけだ。
──人口減少時代への対応は?
【二宮】人口が減少しても、介護やヘルスケア、リスクマネジメントといったサービスを提供することでお客様といろいろな角度でおつきあいできると考えている。お客様が抱えるさまざまな課題を解決できるように、グループとしてサービス業に進化していきたい。
──海外展開はどう進めるか?
【二宮】新興国については、トルコ、ブラジル、マレーシアの3カ国に重点地域を絞っている。これらの国々ではすでに事業基盤ができていて、収益性も高い。それぞれの国でトップファイブに入っていきたい。欧米では、専門性の高い保険を扱う英キャノピアスを買収した。合併によって資本が大きくなり、いままで以上にダイナミックな経営判断が可能になったが、大きければいいというわけでもない。今後もリスクに対するリターンを見極め、海外展開を判断していく。
1952年、兵庫県生まれ。中央大学法学部卒業。74年、日本火災海上保険に入社。秘書室長、常務執行役員、専務執行役員などを経て2011年より日本興亜損害保険社長。14年9月、「損保ジャパン日本興亜」発足に伴い、同社代表取締役社長に就任。