金麦妻としても働きやすい環境
一方、20代男性の結婚にまつわる意識調査に目を向けると、「できれば妻には、家事育児に支障のない程度に働いてほしい」と希望する男性が圧倒的に多いんです。サントリーの「金麦」のCMに出演している檀れいさんが“理想の妻”として中年男性の熱い支持を集めていますが、私がある取材で大学生たちに聞いてみたところ、彼らも家でご飯を作って待っててくれて、自分にだけかわいい一面を見せる“金麦妻”がいいというんです。
妻には働いてほしいといいつつ、金麦妻を望む若い男性たち。女子大生たちも、彼らのニーズをそれなりに感じ取っています。だからこそ、ばりばり働く女性は男性にあまり好かれないのがわかるから、そこは目指さず、そこそこ働ける一般職を希望するのです。
また、女子大生の母親たちの多くが、短大を卒業して一般職で数年働いて寿退社。その後は専業主婦として子育てに専念してきました。自分の母親がよきロールモデルとなり、「私もお母さんみたいにちゃんと子供を育てたい」と考えるようになっても不思議ではありません。しかも大手企業の一般職だと、自分が専業主婦になれる“いいお相手”が見つかるかもしれないのです。
このように、女子大生の一般職志向には、リスクヘッジ志向が強く、結婚や仕事に夢や希望が持てないことが根底にあります。
ただ、彼女たちよりも上の世代として、私たちにもその責任の一端があると思うことがあります。なぜなら、私たちの世代が幸せに見えず、本当は仕事には楽しい部分があるのに、そこを充分に伝えられなかったからです。
でも、彼女たちは案外しぶといので、すぐに結婚できなくても、気持ちを切り替えて資格を取ったり、趣味に力を入れるようになります。むしろ、気持ちの切り替えができず、行き場を失うかもしれないナイーブな男性のほうが心配でもあります。
1968年、東京都生まれ。日本大学芸術学部卒業後、大手出版社に入社。2001年、マーケティングを中心に行うインフィニティを設立。世代・トレンド評論家としても活躍。