新卒は資格取得の動機を語れ
〈5〉「資格そのものより挑戦心や努力を評価」のなかで、「新卒では」と明確に条件をつけて回答した会社(流通系)が1社ありました。「挑戦心」や「努力」といった定性的な部分が、採用の決め手になるのは、日本企業の特徴かもしれません。
新卒者の場合「人柄」「人物」を、採用基準にすると人事部の採用担当はいます。では、その人柄の何を判断するのかといえば、
「当社の風土で、仲間として一緒に働けるタイプの人柄か」
「この人は、当社で将来は管理職になれる人柄か」(いずれも食品メーカー人事部幹部)
と話します。人柄や人物への評価として、「学生時代、頑張って勉強していた人」と見なされて、採用においてやや有利となるのでしょう。
もっとも、どれほど難関であろうと、資格そのものを評価されているわけではないので、「俺は、こんな難しい資格を取った。他の奴とは違う」などといった不遜な態度は、採用面接では禁物です。せっかく取得した難関資格も、意味のない「損な資格」となります。
気がつけば、“人手不足”となりつつあるいま、特に大学生の就職戦線は、学生側の“売り手市場”の様相です。リーマンショック以降の氷河期が嘘のようですが、数年間隔で新卒採用は売り手市場と氷河期とを繰り返してきました。
いまならば、資格取得について、その動機や体験、そして入社後のやりたい仕事と資格の関係、自分の思いなどを、大げさではなく、冷静にわかりやすく訴えるのが得策でしょう。
一方、中途採用はどうだろうか。「即戦力」を求めている企業にとって、資格を持つ転職希望者はより魅力的に映るでしょう。専門職的な職種で応募する企業もあり、中には「募集職種によっては、インテリアコーディネーターは必須」と回答した住宅・不動産関連企業もありました。
「新卒は入社後、3~5年で一人前に育てていく」(流通企業幹部)のに対し、中途採用の場合は即戦力として期待されるケースは多いでしょう。業務独占型の資格はもちろん、複雑な業務の中でも会社が必須とする能力認定型資格を取得していることは、基本的なアドバンテージでしょう。(業務独占型資格と能力認定型資格に関する解説は、連載第1回の4ページ目参照 http://president.jp/articles/-/13358?page=4)