新築マンションは未完成と思え

アフターサービスの利用にあたっては通常、管理会社が引き渡しから1年目、2年目などにアンケートをして不具合がないかどうかを確認する。しかし、管理会社は売り主の関連会社であることが多く、居住者の側に立つかどうかははなはだ疑問だ。なかには、発見された不具合について「それは大規模修繕のとき一緒に直しましょう」と平気でいうような管理会社もある。十数年後に行う大規模修繕のときはアフターサービスの期間が過ぎており、売り主が無償で補修するという一筆でもとっていない限り、居住者の負担で直すことになりかねない。

アフターサービスを適切に利用するためには、購入者自身が建物や設備の不具合を発見し、売り主に指摘しなくてはならない。それには建築に関する専門的な知識が不可欠で、売り主と交渉し、納得させるスキルも必要だ。何より、おおむね2年という限られた時間内に必要な行動をとらなければならない。そうしたことを考えると、外部の中立的な専門家にチェックや交渉のサポートなどを依頼することが有効だろう。

引き渡しを受けた新築マンションは実は未完成であり、アフターサービスを活用して完成品に仕上げていく、というくらいの気構えでいたい。そうすることによって、十数年目に訪れる大規模修繕工事を予定より先に延ばしたり、工事の範囲や内容を抑えることで修繕積立金の不足を解消できるかもしれない。余裕ができた資金でマンションの付加価値アップを検討することもできる。

アフターサービスこそマンションの資産価値を維持し、さらには向上させていく第一歩となるのだ。

ソーシャルジャジメントシステム社長 廣田晃崇
1978年生まれ。管理組合向けコンサルタントの草分けとして、快適なマンションライフ実現に向けて取り組んでいる。
(構成=伊藤博之)
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