「とにかく当社は、秤は動かないものという固定観念を捨てて開発しているんです」と話す早川氏のモットーは「動かない秤ではビジネスは動かない」である。そのため、すべての秤を移動、あるいは持ち運びができるようにしている。
そして、お客のニーズを的確に具現化し、「こういうものが欲しかったんだ」と喜んでもらえる商品をつくることを心がけている。問い合わせがあっても、決してできないとは言わずに、社員と一緒になって検討し、なんとか試作品をつくって持っていく。その結果、さまざまな特注の秤の注文が舞い込む。シャチ用の体重計はまさにその典型と言える。
「特注品を入れれば、すでに100種以上の秤を開発していると思います。社員は開発の苦労が絶えないと思いますが、常に新しいことに挑戦しているので、非常にやりがいを感じているようです」と早川氏は嬉しそうに話す。
現在、同社はグローバル化にも力を入れており、ベトナムを拠点に新興国へ積極的な展開を図っていく計画だ。その陣頭指揮を、息子で専務の早川亘氏が執っている。
1658年に尾張徳川家の要請で、江戸守随3代目の子、治郎右衛門が創業。以来、秤をつくり続ける。特に、18代目の早川静英社長になってからは、「移動できる秤」をコンセプトにこれまでにない秤を次々に開発。13年12月にも、訪問看護事業者向けの組み立て式座いす体重計「楽座」を発売した。
住所:愛知県名古屋市中川区福川町3-1