ゴールドマン・サックスやIBMは、LGBTの人材支援に積極的
一方、LGBTの人材活用に注目する企業も増えている。
外資系金融会社ゴールドマン・サックスでは、2009年からLGBTの学生のための就職説明会を行っている。昨年は、グッドと連携して、就職活動において自身のセクシュアリティに悩みを抱えてしまう可能性の高いLGBTの学生向けに、「キャリア・メンタリング・セッション」と題した企画も実施した。松中氏は、話す。
「LGBTの中でもトランスジェンダーの学生が一番、就職に対する壁を感じています。L・G・Bの学生は面接のときに自身がセクシュアル・マイノリティであることを隠すこともでき、いざ就職しても苦しさはあるがそのままカミングアウトしないで過ごす選択肢もあります。それに対してT(トランスジェンダー)、例えば体が女性で心が男性の場合、見た目はどうしても女性になり、スカートを履くことに抵抗感を持つし、履歴書の性別欄でもどちらに丸をつけるかに悩むのです。ゴールドマン・サックスで実施したセッションでは、そうした悩みに応えたり、先輩社員2人VS学生1人という形で模擬面接のようなこともしたりしました。LGBTの方々は小さい頃から自分のことを隠すように生きなければならず、いざ自分を語ろうとすると、苦手意識を持ち、自信を持てず、引っ込み思案になることが多いんです」(松中氏)
このほかIBMでも就職活動面でLGBTへの支援が行われている。いずれも、まず本国でLGBTに対する方針が明確で徹底されているグローバルな企業だ。
現従業員のLGBT層に向けての、職場の働きやすさ改善を考える企業イベントもある。
「2年前から私たちが日本IBMや国際NGOヒューマンライツウォッチ、特定非営利活動法人虹色ダイバーシティと一緒に始めた『Work with pride』というイベントは、初年度は日本IBMで、去年はソニーで開催され、今秋は大手国内メーカーで開催することが決定しました」(松中氏)
去年の場合、このイベントには大企業から中小企業までが参加し、約150人が来場。うち1社が、今秋の開催場所を提供した大企業だ。