必要なのは「自分に頼る生き方」
テラモーターズはアジアを中心に新興国をターゲットにしていますが、かつての日本のように市場がどんどん伸びている国には、そうした勢いのある企業がたくさんあります。その中に飛び込んで仕事をすると、たとえどんなに厳しくても何かしらの手ごたえがあるはずです。仕事量はハンパない、めちゃくちゃ厳しい。そんな状況が次々にやってくる。でも、それらを一つひとつ乗り越えていけば、必ず自分が前進している、伸びていると感じることができる。
僕はこのテラモーターズという会社を、そのようなビジネスの醍醐味を感じられる場所にしたいんです。そうした場が与えられることで、彼らも自分が成長していることが実感できるわけだからね。
それから、そうした若い世代にとっていまいちばん大切なのは、「自分に頼る生き方」をする姿勢だと僕は思っています。
いまは日本社会や企業の将来が不安定でしょう? そんな時代に給料の良さや福利厚生といった「安定」を求めて会社を選んでしまうと、もし40歳を超えて組織から放り出されたときにどうしようもない。でも、ビジネスの力を若いうちに付けておけば、会社や社会がどうなっても生き残っていくことができる。
アメリカのシリコンバレーなんかでは学生の中にそう考える人が多くて、優秀な若者たちがベンチャー企業をあえて選び、力をつけていくというキャリアの一つの流れが根付いています。オラクルやIBMみたいな大企業に入っても、事業の状況次第では能力に関係なく部門ごとばっさりと切られる国だから、考えてみれば当たり前ですよね。
そういう意味では、彼らに比べて日本人の起業家精神が弱い、というわけでは決してないと僕は感じているんです。わくわくした気持ちで仕事をしたい、新しいことにチャレンジしたい、という気持ちは日本の若者たちの中にも十分にある。それはこの会社に何かを求めてやってくる若者たちを見ていると分かります。