暗黙知【10】――ストーリーを語ることができるか?

年収1億円以上を稼ぐ成功者と接するなかで感じることは、彼らはみな、ストーリーを語る言葉を持っているということです。話すべきことについて、自分の考えや意見、知識やデータを織り交ぜ、まるで一つの物語をつむぐように話を展開することができるのです。

なぜそのようなことができるのかというと、大きな成功を収めた人たちは、つねに真剣に自分の人生と向き合い、人生について考えてきたからです。また、現在の成功を手に入れるまでには、数多くの失敗も経験してきたはずです。一つひとつの思考や体験を積み重ねてきた結果、それらが血肉となり、その人自身のオリジナルな言葉に昇華され、蓄積されてきたのでしょう。

(PIXTA=写真)

成功した人たちの話にはまた、ドラマがあります。飽くなきチャレンジを繰り返し、成功もすれば失敗もしている。そんな山あり谷ありの人生からつむぎだされるストーリーがおもしろくないわけはありません。さらに彼らは、失敗や挫折した自分を躊躇せずにさらけ出す強さも持ち合わせています。「この人でもこんな失敗をしているんだ」という意外性は、相手の共感と信頼を生み出します。

こうした生き方の根底にあるのは、宗教観ともいえるものです。

ここでいう宗教観とは、特定の宗教や信仰を持つことではありません。人生を形づくる思想や哲学、価値観などを包括したもの、別の言葉で表現すれば、「あなたは何を大事に生きているのか」「何のためにこの仕事をしているのか」という問いに真摯に向き合ったときの心の叫びです。すなわち、その人の軸ともいえるものです。

話し方には、その人の生き方が表れます。言葉にはその人の宗教観が宿ります。「稼ぐ人」の話が魅力的なのは、人生を真剣に生きているからなのです。

オフィシャル代表取締役
江上 治

1967年生まれ。有名スポーツ選手から経営者まで年収1億円を超えるクライアントを50名以上抱える富裕層専門のカリスマ・ファイナンシャル・プランナー。大手損保会社、外資系保険会社の代理店支援営業の新規開拓分野で全国1位を4回受賞、最短・最年少でマネジャーに昇格を果たし、FP事務所を設立。最新刊に『一生かかっても知り得ない年収1億円人生計画』。
(構成=前田はるみ 撮影=小原孝博 写真=PIXTA)
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