暗黙知【8】――知らずに言い訳をしていないか?
伸びる人と伸びない人は、口ぐせで見わけられます。伸びない人は、「でも」という言葉を頻繁に口にします。「でも、そんな指示は受けていません」「でも、私だって精一杯やりました」……。「でも」に続く言葉は、すべて言い訳です。
言い訳をする人は、素直に自分の非を認めたり、他人の忠告に耳を傾けることができません。失敗や挫折は多くのことを学べるチャンスであるにもかかわらず、自分の非に素直に向き合わないために、みすみす成長の機会を逃しているのです。
一方で、「稼ぐ人」は言い訳をしません。失敗も挫折もすべて自分の責任と受け止め、それを乗り越えるべく努力します。また、失敗の原因を分析して、次に生かすことを考えます。だからどんどん成長し、ますます「稼げる人」になっていくのです。
マッサージチェーン店を経営するある社長は、リーマンショックの影響で融資が滞り、経営難に陥ったことがありました。そのときの社長の行動はじつに潔いものでした。リーマンショックのせいにする経営者が多いなか、この社長はすべて自分の責任と受け止め、全従業員を集めて心から謝罪するという行為に出ました。その結果、何が起こったか。社長の誠実な対応に心を打たれたスタッフたちは、自発的に街頭でビラを配るなど営業攻勢をかけ、それによりこの会社は経営危機を脱することができたのです。
失敗も挫折も、そこに至る過程で人生の選択をしてきたのはすべて自分です。他人のせいにするよりも、覚悟を決めて問題解決にあたったほうが自分の成長にもつながります。気づかずに「でも」と口走っている人は、その口ぐせからまずは改めてみてください。