反対に男は、とりあえず長く働けばやる気があるとでも思われて、年を取れば多少能力が低くてもエラくなっちゃう。しかし僕の経験から言って、やる気がやたら強い人には「ダメ男」が多い。周囲のことを考えずに突っ走るため、人から愛されず、結果を出せないのです。
女性登用を進めるには、トップマネジメント(経営者)が力ずくで変えるしかない。だから僕は、「女性の活躍推進は私のライフワーク。それが不公平だ、嫌だと言う人は、違う会社に行ってくれていい」とまで公言しています。このくらいトップがコミットしなければ、女性登用なんて進みませんし、それが進まなければ会社は成長しません。
なぜ、女性が活躍しないと、会社は成長しないか? それは、女性と男性は本来同じ能力をもっているからですよ。ゴルフをやるとき、左手一本で打ちなさいと言われたら、うまくできないでしょ。それと同じで、どうして両手を使わないんだって話です。
今や女性登用最先進国のノルウェーだって、2003年に大臣が取締役の女性比率を40%にしろと言ったときは、同国の経団連が大反対したんです。でも担当大臣が、「5年以内に達成しない会社は上場廃止」という法律を決めちゃった。その結果、ノルウェーの上場企業の役員の44.2%が女性になり、ノルウェー経済は劇的に良くなった。
トップが覚悟を決めて本気で改革すれば、ノルウェーのように5年で会社が、ひいては、国が変わることができるんです。
1947年、京都府生まれ。京都大学大学院農学部修了後、伊藤忠商事入社。93年、ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人事業本部長、99年社長。2009年より現職。