会社組織というものは、年齢的にも経験的にも異質な人が集まるヘテロジーニアスな社会です。一方、多くの人は学生時代を経てから就職するまで同級生に囲まれて年齢差が少ないホモジーニアス(同質)な社会で過ごします。そこからヘテロジーニアスな世界に入ってきたら、まず「礼」を身につけなくてはいけません。礼には社会秩序を安定させる役割があり、それを守れない人は、組織では使えないと判断される。たとえば廊下ですれ違ったときに頭1つ下げないような部下はしんどいですよ。
逆に礼を身につけた部下は、評価が高くなります。先日、当社のある社員の電話対応がパーフェクトだと社内で話題になりました。礼儀作法をわきまえているうえに、そつがなく伝言を頼んだらきちんと伝えてくれる安心感もある。こういう社員は自然に評価されます。
自分自身をよく知れば大言壮語もなくなる
素直さや謙虚さも大切です。何でも知ったかぶりをして謙虚に教えを請わない人がいますが、こうした人に周りの人は何か教えてあげる気になりません。その結果、本人はいつまで経っても成長しないままです。これは、お客様のところにいっても同じです。生意気なことばかり言うので、まともに相手にされず、成果も出せない。社内でも社外でも、素直であることは非常に大事な要素です。
人の話を聞かずに、自分のことばかり話したがるのも駄目です。自信満々に大演説するので、「それならやってみてよ」と任せると、出てくるものは何もない。これは一番印象が悪い。できもしないことを言うくらいなら、黙って引き受けて期待以上の結果を出したほうがいいです。
大きなことを言ってしまうのは、自分に何ができるのか、よくわかっていないからでしょう。大切なのは、自分自身をよく知ること。自分に天から与えられた能力は、どの程度なのか。努力して、どれだけそれを伸ばすことができたか。それらを把握していれば、大言壮語もなくなるはずです。
最初は素直で人の話をよく聞いていたのに、成果を出した途端に自信をつけて勘違いしてしまう人もいます。成果を出して傲慢になるのは、その時点での自分の成長に満足してしまったからです。「勤めても なほ勤めても 勤めても勤め足らぬは 勤めなりけり」と言いますが、成果を出しても新たな目標を設定して、さらに努力を続けていく姿勢が大切です。