求められる仕事力と人間力
人間の度量、すなわち“器”をつくるというのは、ビジネスパーソンにとって、非常に重要なテーマです。なぜなら周囲から「彼は器が小さい」と見られてしまうと、重要な仕事や役割は回ってきにくくなってしまうからです。とはいえ、人の器をどのように考えればいいのでしょうか。
ビジネスの現場において、常に求められるのは、技術や能力を表す仕事力(スキル)と人間性や人柄を表す人間力(マインド)です。おわかりと思いますが、この人間力こそ器と大きく関係してきます。
例えば、スキルが傑出しているけれども、人間力があまりない人を才子といいます。ただこの人は器が大きいとは思われません。それにはやはり人間力が必要で、この2つをあわせ持つ人物が大人(たいじん)。会社では、多くの部下の上に立ち、士気を鼓舞して、目標に向かってぐいぐい前進させるリーダーです。私流に定義すると“人財”ですが、こんな人は全体の5%、甘く見ても10%しかいません。
往々にして、部下を持つと「うちの上司は、よくできた人だ」と見られたくて、器の大きなふりをする人がいます。けれども、付け焼き刃は絶対に禁物です。見る目を持つ人には、必ず見抜かれてしまうものです。
しかし、人間力あるいは人柄といっても漠然としています。そこで私は、人間力を構成している重要な要素を考えてみました。端的にいえば、信頼と尊敬と意欲の3つです。それによって「あの人は器が大きい」と周囲が感じるわけですが、そのためには、次の7つを実践してください。
まず、1番目に方向性を語ること。会社組織にあっては、経営理念や長期計画を構築し、指し示すことです。2番目は、それに基づく戦略や戦術を立案する際、自分の部門だけでなく、全社的視野に立つことも大切です。そして3番目として、決定事項を素早く断行するのです。ちなみに、ある調査によると、サラリーマンの上司への不満で最も多いのが「早く決めてくれない」ことだそうです。